第2分科会

2nd subcommittee

第2分科会

化粧品、化粧品原料企業などで構成されております。

 第2分科会は、香粧品関連の企業を中心に現在15名のメンバーで活動しており、安全性に優れた香粧品の開発を主要テーマに多角的な見地から皮膚刺激性評価の検討を行っています。
 近年では、「リンスオフ製品の試験条件の検討」という研究テーマを設定し、皮膚刺激性評価に関する検討を行ってきました。2022年度からはリンスオフ製品での実使用を反映したパッチテスト適用条件を見出すことを目標に試験濃度、貼付時間、皮膚刺激指数の関係性について検討を行っていました。被験者の負担を減らすため、24時間貼付と同等の反応が出る短時間貼付の最適濃度の検討することを課題とし、「高濃度/短時間」の試験条件を模索してきました。
 予備検討では適度な刺激性を有する界面活性剤であるラウレス硫酸Naの付加モル数の異なる2種の成分を用いて原料レベルでの検討を行いました。検討の結果、必ずしも試験濃度が高いほうが皮膚刺激指数は高いという結果は得られず、相関性を見出すまでには至りませんでした。その理由としては、界面活性剤はある濃度以上になると水中で集合体(ミセル)を形成するため、皮膚表面にミセルの状態で吸着した可能性が考えられます。また界面活性剤の種類によって皮膚浸透性が異なるなど様々な特性があり、皮膚への吸着、残留、浸透などの因子により皮膚刺激性の順位が異なったのではないかと考えました。一方で、試験実施時期に着目し、試験実施時期と皮膚刺激指数をまとめた結果、冬から夏にかけて皮膚刺激指数が小さくなることが確認されました。このことから夏季に比べ、冬季のほうがパッチテストでの皮膚反応が出やすくなる可能性があると考えられます。一般的に湿度が低く、空気が乾燥する冬は、皮膚から水分が失われ、水分と油分のバランスが崩れやすく、バリア機能が低下することで刺激を受けやすくなります。このことから気温や湿度の変化が皮膚状態に影響し、結果に影響を与えたのではないかと考えています。
 本年度はこれまで検討してきた界面活性剤由来の刺激性をふまえ、2種類のシャンプーのモデル処方を作成し、短時間貼付であっても貼付濃度を高くすることにより、24時間貼付と同程度の皮膚刺激反応を再現することを目標に検討を行いました。ラウレス硫酸Na(1mol付加)を配合した一般的な洗浄力を有する処方と、ラウレス硫酸Naに加え、ラウリル硫酸Naを配合し、やや洗浄力を向上させた処方作成し、予備試験を実施しました。その結果、貼付濃度と貼付時間に相関関係は確認できませんでしたが、これまでの検討と同様に24時間貼付のほうが4時間貼付に比べて皮膚刺激指数が高く出るという再現性が確認できました。その理由としては、貼付濃度により界面活性剤の状態に差が生じたことが考えられます。低濃度貼付の界面活性剤の状態は、モノマーの単分子のような状態が多く存在することから皮膚内へ浸透しやすく刺激が出やすいことが考えられます。一方で、高濃度貼付の界面活性剤の状態は、ミセルのような会合体が形成されやすく、そのために皮膚内に浸透しにくく、刺激が確認されにくかったのではないかと考えました。また、4時間貼付に比べて24時間貼付のような長時間貼付のほうが、皮膚のバリア機能を低下させやすく、原料や製剤が内部に浸透しやすい皮膚の状態になり、24時間貼付のほうが4時間貼付に比べて、刺激が確認されやすかったのではないかと考えています。加えて、皮膚へ物質が浸透するまでの時間(ラグタイム)の影響を考慮した場合、物質が皮膚に浸透するために一定の時間を要することから短時間貼付はラグタイムの影響を大きく受けやすかった可能性が考えられます。上述のように低濃度24時間貼付のほうは高濃度より浸透しやすくなる条件が整っていたことから強い刺激が見られたのではと考えています。
 以上のことから、今後は貼付時間を固定し、試験時期の差異や貼付部位差、最適な実使用の処方例などを含め、更に検討を進めていきたいと考えています。

委員

  • 委員長 コタ(株)
  • 副委員長 三洋化成工業(株)
  • 副委員長 (株)ナリス化粧品
  • 委員 河合産業皮膚医学研究所
  • 委員 牛乳石鹸共進社(株)
  • 委員 (株)クラブコスメチックス
  • 委員 サンスター(株)
  • 委員 (株)消費科学研究所
  • 委員 タカラベルモント(株)
  • 委員 中野製薬(株)
  • 委員 NISSHA(株)
  • 委員 日皮協
  • 委員 日本メナード化粧品(株)
  • 委員 (株)ノエビア
  • 委員 (株)ファンケル

研究業績

  • 早川律子他:化粧品原料の皮膚一次刺激性試験法の比較研究
    皮膚、26・5;1057~1149、1984
  • A. Sato,et.al.;Evaluation of human skin irritation by carboxylic acid, alcohols, esters and aldehydes, with nitrocellulose-replica method and closed patch testing.
    Cont.Derm.34;12~16, Jan.1996.
  • T. Kozuka,et.al.;Allergenicity of fragrance materials
    Env.Derm.3;326~335, Dec.1996.
  • 奥村秀信他:揮発性物質を含む製剤の皮膚一次刺激性評価法
    -河合法とクローズドパッチテストとの比較-
    日本香粧品科学会誌、21・2;110~113、1997.
  • 林昭伸他:河合法で評価可能な化粧品液状エステル油の皮膚刺激性について
    第26回接触皮膚炎学会 大阪国際交流センター 2001.12.8
  • N.Ozawa.et.al,;Skin Irritation of liquid oils for Cosmetic Materials is highly Correlated with a reciprocal of Molecular Radius JOURNAL OF ENVIRONMENTAL DERMATOLOGY
    Vol.12 No.1,50-63, 2005

議事録

協会の会員以外の方は議事録をみることができませんのでご了承ください。

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