第1分科会

1st subcommittee

第1分科会

繊維関連、繊維処理剤関連、アパレル企業などで構成されております。

 第1分科会は現在13名のメンバーで活動を行っています。
 これまで検討していた『繊維や加工剤の劣化による皮膚への影響』については、劣化の中でも黄変について検討を進め、昨年度でこれまでの結果をまとめ、このテーマについては一区切りつけることにしました。導くことができた結論は、「紫外線照射による黄変生地について肌への悪影響は確認されなかった」「汗に含まれる皮脂成分の一つであるオレイン酸は、黄変(酸化)することで皮膚刺激性が高くなった」「オレイン酸加工布は、洗濯により皮膚刺激性が低減した。衣類を着用して人体から付着する皮脂量程度(<<2g/㎡)では洗濯すれば肌への悪影響の懸念は少ない」とまとめました。今後は学会等へ発表する予定です。  現在は新しく取り組むテーマを検討しています。靴下の口ゴムで足に痒みが出る経験から『圧迫による皮膚刺激の調査』がテーマ案として挙がり、2回のプレテストを実施しました。圧迫による刺激は平ゴムを分科会のメンバーの脹脛部に装着し、平ゴムの長さは脹脛の直径の85%の長さにすることで軽い圧迫が加わるようにしました。日中の活動中、できる限り毎日、約3週間装着を続け、赤みや痒みなどのアンケート調査と肌の水分量、蒸散量の測定を行いました。その結果は、痒み等が確認された人が一部いたものの、多くの人には赤みや痒みは確認されませんでした。水分量、蒸散量についても平ゴム装着部分と未装着部分とで比較して有意差はありませんでした。このテストでは圧迫力が小さすぎた可能性があり、また、平ゴムの表面が通常の靴下よりも平滑なため圧迫による皮膚刺激を再現できていない可能性があると考えました。1回目のプレテストを踏まえ2回目は、平ゴムのサイズは脹脛の直径の75%の長さにして圧迫力を増やし、靴下をイメージしたリブ編みとその比較対象として平編みの筒編生地を作り、平ゴムの内側に装着することにしました。この状態で約1か月間テストをしましたが、赤みや痒みは一部の人に一時的に確認された程度であり、水分量と蒸散量も有意差はありませんでした。以上の2回のプレテストにより圧迫だけでは肌のバリア機能は壊れないことが予想されました。現在は、平ゴムの圧迫が強すぎて繊維と皮膚の間で摩擦が起こらないために痒みが発生しなかったのではないか、という仮説を立て、引き続き靴下の口ゴムの痒みを再現する検討を進めています。  他のテーマ案としては「褥瘡関係の安全性評価」や「介護用品の安全性評価」「カバリングしていないポリウレタン糸で作った靴下の皮膚への影響」「長期着用後のシャツの袖口が痒くなる現象」などがありこれらも含めて取り組みテーマを決定していきます。

委員

  • 委員長 旭化成(株)
  • 副委員長 明成化学工業(株)
  • 副委員長 (株)ワコール
  • 委員 岡本(株)
  • 委員 大原パラヂウム化学(株)
  • 委員 河合産業皮膚医学研究所
  • 委員 倉敷紡績(株)
  • 委員 グンゼ(株)
  • 委員 (株)鈴木靴下
  • 委員 大和化学工業(株)
  • 委員 大和紡績(株)
  • 委員 東洋紡(株)
  • 委員 日皮協
  • 委員 松本油脂製薬(株)

研究業績

  • 河合敬一他:分散染料の皮膚刺激性-染色布による検討
    日皮会誌、102・11;1411~1419、1992.
  • 手島馨他:布のかたさと皮膚刺激性
    皮膚、35・4;461~470、1993.8.
  • 手島馨他:繊維用加工剤の皮膚刺激性-濃度、繊維素材、熱処理温度の変化
    繊維製品消費科学、36・3;39~44、1995.3.
  • 近藤智吏他:硬仕上加工布の力学特性及び風合いと皮膚刺激性
    繊維製品消費科学、36・6;40~50、1995.6.
  • 弓削治他:樹脂加工剤の加工条件による皮膚刺激性
    繊維製品消費科学、37・2;24~31、1996.2.
  • 近藤智吏他:繊維及び糸の要因と皮膚刺激性
    繊維製品消費科学、37・6;50~58、1996.6.
  • 滝沢清, 他:背に集合体の乾燥・湿潤状態における特性と皮膚刺激性 -試料の湿潤状態と皮膚刺激性-. 日本繊維製品消費科学会年次大会. 東京. 1998.
  • 出口潤子他:繊維の皮膚刺激性評価法 -閉塞法と河合法の比較-
    繊維学会誌、63・8;200~204、2007.8.
  • 出口潤子他:繊維の乾燥・湿潤状態における特性と皮膚刺激性
    -皮膚表面の相対湿度が皮膚刺激性に与える影響-,繊維製品消費科学.49・10 : 703-710, 2008.
  • 出口潤子, 他:繊維製品の保湿性評価法の検討. 日本繊維製品消費科学会年次大会. 名古屋. 2013.
  • 出口潤子, 他(日皮協技術委員会第1分科会):繊維製品の保湿性評価方法の検討Ⅱ -繊維製品の水分透過性、保持性と保湿効果-. 日本繊維製品消費科学会年次大会. 東京. 2016.

議事録

協会の会員以外の方は議事録をみることができませんのでご了承ください。

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