第2分科会
2nd subcommittee
第2分科会
化粧品、化粧品原料企業などで構成されております。
第2分科会は香粧品に関係する会員企業17社が中心となり、主に化粧品成分の安全性評価を中
心に共通の研究テーマを設定し、安全性に優れた製品開発に役立てるため共同研究をおこなってい
ます。
2018年からは新たな研究テーマとして「パッチテストの基礎検討」を設定し、パッチテストに用いるチャンバーサイズと皮膚刺激性の関係について継続して検討を進めています。これまでの研究で、サイズの異なるフィンチャンバー(直径8mm、12mm、18mm)を用いて3種類の水溶性物質(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウム)について検討した結果、チャンバーサイズが異なることによる皮膚刺激性の違いは、単位面積当たりの被験物質の適用量が原因であることが示唆されました。また、単位面積当たりの適用量と皮膚刺激指数との関係を確認したところ、パッチテストによる皮膚刺激性と単位面積当たりの適用量の間に高い相関性が認められました。
次のステップとして油溶性物質でも水溶性物質と同様に単位面積当たりの適用量と皮膚刺激性に相関関係が認められるかを確認するため、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸およびカプリル酸を被験物質に選択し検討を進めました。その結果、皮膚への接触性が均一なカプリル酸のみ単位面積当たりの適用量と皮膚刺激指数の間に高い相関性を認め、また単位面積当たりの被験物質の適用量をそろえると同等の皮膚刺激性を示すことが示唆され、水溶性物質と同様の結果を確認することができました。
得られた結果がカプリル酸のみの結果であったことから、この現象が油溶性物質全般に言えるかどうかを確認するため、昨年も引き続き油溶性物質を用いて単位面積当たりの適用量と皮膚刺激性の関係について確認しました。
被験物質は日本産業皮膚衛生協会第2分科会で過去に検討した試験データや安全性に関する報告書、化学物質の安全性データシート等の情報を基に新たな油溶性物質としてカプリン酸およびラウレス-2 を選択し、単位面積当たりの適用量と皮膚刺激性の関係について確認しましたが、想定していた皮膚刺激性よりも強い皮膚反応を示したため一旦試験を中断し、適度な刺激性を有する油溶性物質の選択について再度見直しを進めている状況です。
2018年度から、パッチテストにおける刺激性と単位面積あたりの適応量においての相関関係を検討し、水溶性物質、油溶性物質各々のケースにおいての基礎的な知見を構築することができましたが、これらはあくまでもリーブオン製剤における知見であり、リンスオフ製品での検証は未実施です。
過去に第2分科会ではリンスオフ製品の刺激性評価を検討し、24時間貼付・低濃度暴露という条件は実使用の際に皮膚上でおこっていることを反映せず、4時間貼付・高濃度暴露という条件が、より実使用に近い状態を再現しているのではないかとの推察に至りました。それ以外にも、4時間パッチテストの結果が実使用と近い結果が得られるとの報告もあり、一律の条件でパッチ試験を行うのではなく、製品の使用形態や使用状況に応じたパッチ試験の暴露濃度・暴露時間の設定することで、リンスオフ製品の実使用に合わせた安全性評価ができる可能性が考えられます。このことから次の段階として、実使用状況を反映した、より被験者への負担が少ない条件を検討したいと考えました。
そこで、リンスオフ製品での実使用を反映した適用条件を見出すことを目標に試験濃度、貼付時間、皮膚刺激指数の関係について検討を行いました。その結果、本研究で用いた被験物質の濃度と貼付時間に相関性を見出すまでには至りませんでした。今回は付加mol数の異なる2種の成分を用いましたが、必ずしも試験濃度の高いほうが皮膚刺激指数は高いという結果は得られませんでした。界面活性剤はある濃度以上になると水中で集合体(ミセル)を形成しますが、ミセル状態では皮膚表面に吸着する可能性があると考えられます。また界面活性剤の種類によって皮膚浸透性が高いなど様々な特性があり、皮膚への吸着、残留、浸透、季節変動、貼付部位などの因子が関連していることで皮膚刺激性の順位が異なったのではないかと考えられます。
今後は界面活性剤の皮膚浸透性に関する文献の調査や貼布濃度の再検討、より適した陽性対照の探索、貼付部位などを含め、更に検討を進めていきたいと考えています。
分科会活動に興味のある会員企業の方は是非参加してみて下さい。新メンバーの参加をお待ちしております。
委員
- 委員長 コタ(株)
- 副委員長 三洋化成工業(株)
- 副委員長 (株)ナリス化粧品
- 委員 河合産業皮膚医学研究所
- 委員 牛乳石鹸共進社(株)
- 委員 (株)クラブコスメチックス
- 委員 サンスター(株)
- 委員 (株)消費科学研究所
- 委員 タカラベルモント(株)
- 委員 中野製薬(株)
- 委員 NISSHA(株)
- 委員 日皮協
- 委員 日本メナード化粧品(株)
- 委員 (株)ノエビア
- 委員 (株)ファンケル
研究業績
- 早川律子他:化粧品原料の皮膚一次刺激性試験法の比較研究
皮膚、26・5;1057~1149、1984 - A. Sato,et.al.;Evaluation of human skin irritation by carboxylic acid, alcohols, esters and aldehydes, with nitrocellulose-replica method and closed patch testing.
Cont.Derm.34;12~16, Jan.1996. - T. Kozuka,et.al.;Allergenicity of fragrance materials
Env.Derm.3;326~335, Dec.1996. - 奥村秀信他:揮発性物質を含む製剤の皮膚一次刺激性評価法
-河合法とクローズドパッチテストとの比較-
日本香粧品科学会誌、21・2;110~113、1997. - 林昭伸他:河合法で評価可能な化粧品液状エステル油の皮膚刺激性について
第26回接触皮膚炎学会 大阪国際交流センター 2001.12.8 - N.Ozawa.et.al,;Skin Irritation of liquid oils for Cosmetic Materials is highly Correlated with a reciprocal of Molecular Radius JOURNAL OF ENVIRONMENTAL DERMATOLOGY
Vol.12 No.1,50-63, 2005
議事録
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